寒い
最近朝イチのことばはこれではじまる
まあ寒いなら何か早く着ればいいのだ
いつまでもパジャマでいるから寒いのだ
しかし
着替えるために一度裸にならなくてはいけない
しかも今日は仕事もなく
外は雨だしわざわざ出かけることもない
なのになぜ
何のために
着替える必要があろうか
いや ない
そしてこの時点で
おや
きららはどこだ
と 探してみると
わたしの体温でまだ温もっているところに
いるではないか
いるではないか
うーん寒い
もう一度蒲団に入ろうか
いや さすれば確実に眠りに落ちるであろう
そして次に目覚めれば時刻は昼過ぎ
あいやしまったと
後悔することであろう
そうだ
着替えるために
どうせ一度裸にならなければならぬのなら
風呂を沸かせばよいではないか
そうだ そうしよう
ええいうるさい
そして湯船につかると
そとからきららの
「うにょあおぉぉぉん」
というなんだかよくわからない
けどきっと寂しいんだろうなという
なきごえがこだましている
ふっ
まだまだ甘ちゃんよのう
風呂からあがっても油断はできぬ
髪が長いものにとって
そのままにしておくとさらに寒くなる
面倒だが乾かすしかない
ぶおお ぶおおと
ドライヤーをかけおわり
ふと後ろをふりかえると
エッ!?
ってこっちのセリフだがね
あんた
ここまでがんばって蒲団から目をそらしてきた
わたしを誘っているのかい?
このふわふわの蒲団に飛び込めば
いい夢がみられるって
そういっているのかい?
あんた
かわいい顔して鬼だねぇ
真綿で首をしめるような行為だねぇ
身も心もプライドもすてて
とびこんでもいいのだね
せっかく風呂に入り温まっても
結局それでいいのだね
馬鹿にしてんのかいー。
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